カモられないために!承認誘導のプロの手口を知っておこう。

リベラルアーツ以外

車を買うときや引っ越しをするときの価格交渉が苦手。

・・・なんだかカモられている気分になる。

なな太郎
なな太郎

相手は承認誘導のプロだよ!

書籍「影響力の武器」を読んでプロの手口を知っておこう。

「いつの間にか、不利な条件で契約しているような気がする」

「購入するつもりのないものを、いつの間にか買ってしまっている」

こうした経験が多い人は、注意が必要です。この世のあらゆる企業、営業マンたちは、人間の行動をつかさどる基本的な心理学の原理(=影響力の武器を利用して、私たちの承認を誘導しているのです。

書籍「影響力の武器」は、人間の行動をつかさどる基本的な心理学の原理として、①返報性、②コミットメントと一貫性、③社会的証明、④好意、⑤権威、⑥希少性の六つの原理と、その原理を使いこなす承認誘導のプロ(営業マンなど)の手口を教えてくれます。

私たちは長い人生において、何度かの大きな買い物や契約をします。そのたびにカモられてはなりません。

カモにされることを回避するために、「影響力の武器」の存在は知っておくべきです。

承認誘導のプロが「影響力の武器」を行使する事例

ここからは、承認誘導のプロが「影響力の武器」を行使する事例を、私の個人的体験談を交えて紹介します。

引っ越し業者の営業マンが使う「譲歩への見返り要求(圧力)」

15年ほど前の話。

東京から九州への引っ越しが決まった私は、さっそく引っ越し業者3社に電話し、複数見積もりをとることにしました。

最初にやってきた会社の営業マンは快活な人で、第一印象は悪くない。

しかし、交渉を進めるうちに、段々と高圧的な態度になっていったのです。

営業マン「見積は50万円になります。」

私「うーん、高いですね。」

営業マン「でもこれは標準の見積もりで、もっと安くできますよ。ちょっと上司にかけあってみます。」

(営業マンが上司に電話)

営業マン「30万でいけます。うちに決めてください。」

私「値下げしてくれるのはありがたいんですが、他社にも見積もりをもらってから決めます。」

営業マン「この業界は、最後は数千円単位で値下げする泥仕合になってしまうんですよ。ギリギリまで値下げするので、うちに決めてください。もう一回上司に掛け合いますから。」

(といって勝手に上司に電話する)

営業マン「22万まで下げれます。うちに決めてください。本当にギリギリの価格です。他社の見積もりをとっても、いきなりこんな価格は出てきませんよ。」

私「いや、それが特別安い価格なのか、私にはわからないんですよ。私には適正な価格を判断するための基準がありませんから。だから他社の見積もりと比較したいんです。」

営業マン「本当に困った人だ。私がこんなに譲歩しているのに!」

こんなやり取りがしばらく続き、最終的にサインしてしまいました。

確かに大幅に値下げしてくれているのだから・・・、という気持ちがあったためです。

相手が使った技術は、影響力の武器のうちの1つの「返報性」で、その派生である「拒否されたら譲歩」法であると思われます。

  • 返報性
    • 「他人がこちらに何らかの恩恵を施したら、自分は似たような形でそのお返しをしなくてはならない」と考える心理
  • 「拒否されたら譲歩」法
    • 最初に大きな要求を相手に提示し、相手が拒否したら次の条件(本命の条件)を提示する。大きな要求を取り下げたことを「譲歩」だと相手に思わせ、その譲歩に返報しなければならないという気持ちを相手に起こさせる手口。
    • 「私も譲歩したのだから、あなたも譲歩すべきだ」と圧力をかけて承諾を引き出すやり口

引っ越し業者は、度重なる値下げ(彼いわく、ギリギリまでの値下げ)を「譲歩」だと顧客である私に認識させ、「私は価格面で譲歩したのだから、あなたは見返りとして今すぐ契約するという行動をとりなさい」という圧力をかけたというわけです。

悔しいですが、私はその圧力に屈してしまったわけですね。

ちなみに、見積もりに来てもらうつもりだった他の業者に「すみません、御社にも見積もりを貰うつもりでしたが、もう○○引越社さんに決めちゃいました」と伝えると、

「え、いくらですか?〇〇万円?うちもそれくらいまでは普通に下げれますけどね。」と言われました。

自動車ディーラーの営業マンが使う「承認の先取り」

次は自動車を新車で購入したときの話です。

ディーラーで某ミニバンの見積もりを依頼したところ、330万円ほどでした。

しかしこの見積もりには、私にとっては不要な付属品が多くついている。一方、車体色は+5万円かかるが変更したい。

自分で手計算したところ、315万円くらいに下がるはずです。

私は妻と二人で再度ディーラーに向かいました。

私「先日いただいた見積もりについて、バツ印をつけた付属品はいりません。車体色は、この色にしたいです。以上の内容で、再度見積もりを貰えませんか。」

営業マン「承知しました。ところで、長々と交渉を続けるのはやめませんか?きょう契約していただけるなら、こちらも頑張ります。この価格なら買うという希望額を教えていただけませんか。」

私「今日決めるという条件なら、コミコミで300万円です。」

営業マン「それは結構きびしいですね。でも、上司に掛け合ってきます」

(5分後)

営業マン「今回はこちらも決算前という事情もあるので、300万円まで下げることにしました。」

私「じゃあ、今日契約してもいいです。」

営業マン「では書類を作成しますね。」

(書類作成をしながら)

営業マン「あ、車体の色を変更希望でしたね。これは+5万円になるので、総額で305万円になりますが、それでも車体色を変更しますか?」

私「車体色の変更希望は冒頭で伝えていたはずです。車体色の変更も含めて、300万円という認識ですが。」

営業マン「330万円の当初見積りに対して、300万円まで下げたつもりでした。当初見積りには車体色の5万円は入っていなかったので、別料金になるのですが・・・。」

このとき、私は「+5万円でもしょうがないか・・・」とすぐにあきらめてしまいました。

相手が急に条件を変えたのだから、本来ならば取引をいったん中止しても良かったはずです。

しかし私は、みずからの意思で「今日契約する」ことをすでに決めています。だから取引停止の選択肢を頭に浮かべることができませんでした。

ここで使われた手口は、影響力の武器の1つである「コミットメントと一貫性」。具体的には「承諾先取り法」と呼ばれる手口です。

  • コミットメントと一貫性
    • ひとたび決定を下したり、ある立場をとる(コミットする)と、自分の内からも外からも、そのコミットメントと一貫した行動をとるように圧力がかかる。
  • 承諾先取り法
    • 相手にとって有利な条件を提示し、喜んで買うという決定を誘い出す。そして、決定がなされてから契約が完了するまでのあいだに、もともとあった有利な購買条件を巧みに取り除くというやり口。

自動車ディーラーのこうした手口は、書籍「影響力の武器」でも同じような具体例が紹介されています。

なな太郎
なな太郎

ちなみに、私の体験談の結末ですが、妻が「そんなのおかしい!」と主張し続け、最終的には303万円で契約しました。

相手の武器を知っておこう。手口がわかれば対処ができる!

私が経験した過去の失敗は、「影響力の武器」を読んだからこそ、後になって気づくことができました。

今後は似たような場面に出くわしても、「あれ、これは影響力の武器が使われているぞ」と気づくことができるはずです。

引っ越し業者の件ならば、こちらが契約を拒否するたびに値引きする相手の「見せかけの譲歩」に圧力を感じる必要はないことがわかります。

自動車ディーラーの件では、「今日買うことを自分自身で決めた」ことに固辞せず、相手が条件を変えたのだから一旦取引を中止しようという選択肢を意識することができるでしょう。

なな太郎
なな太郎

次に大きな買い物をするときは、「影響力の武器」をしっかり意識するぞ!

今回の記事では、「影響力の武器」で紹介されている六つの原理のうち、「返報性」と「コミットメントと一貫性」の二つだけを紹介させていただきました。

残り四つの原理「社会的証明」「好意」「権威」「希少性」も含めて承認誘導のプロが使う手口を知っておけば、今後の人生でカモにされる確率はきっと大きく減るはずです。ですから、ぜひ「影響力の武器」を読んでみてください。

今回の記事が皆様のお役にたてたなら幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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