本の内容の理解、気づき
多様性がうたわれる世の中において、マイノリティの方々への理解が進んできているが、それはごく一部にとどまるのかもしれない。
異常性癖を持つ、いわばマイノリティ中のマイノリティの人々は、この多様性の社会の中においても理解されない。世に受け入れられずに、異常者として扱われる。
多くの人々にとっての悩みは、誰かに理解・共感される悩みである。そうではない悩みを持つ人々は、悩みを打ち明けることすらできない。
多様性という言葉の中にも入ることができず、社会の循環からもれた人々が世の中に存在すること、また、そうした人々の視点から見える世界を垣間見たことに、本書を読んだ意義があると思う。
人が生きていくうえで、他者とつながりを持つことが大切だと、思い知らされた気がする。
普段は一人でいる方が気楽だ、とも思うけど、それは本当の一人ではない。土台につながりをしっかりと持った人しか、一人が気楽だなんで言えないのかもしれない。
誰ともつながりが持てないのは、辛いことだ。性的な異常者に限らず、誰にも悩みを打ち明けられず、抱え込んでしまう人も同様に辛いだろう。
誰かの理解者になること、誰かの味方であること。誰かと思いを共有し、悩みに寄り添い、心を開くこと。これが人生の意味に他ならないのではないか。
いや、理解者というのは言い過ぎか。すべてを理解するのは困難なのだと、本書で学んだのだ。どんな人にも、ほかの誰とも違う、マイノリティな部分が存在する。
ただ寄り添うことが、一番いいのかもしれない。
好きなシーン
異常な性癖を持つ元同級生の二人。同じ悩みを持ち、唯一悩みを共有できる相手。二人が共同生活を送る中、強くつながりを持つ場面がある。
くしくもそれは、彼らにとっては「性的ではない」、疑似的な性行為を通じて描かれている。この場面が一番心に残った。
ことのあとの事件後も、彼らはつながりを保つことを望んだ。
物語の終わりは、悲しくもあるが、希望を見出すものにも思えた。

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